2014年4月2日水曜日

Les petits rats

13年前の春、私の娘は近所のバレエ教室の幼児クラスに通い始めた。土曜日の夕方、週1回。当時私は定休日のない生活だったので、娘は土曜日も朝から晩まで保育園にいたが、土曜日だけは私の母が夕方早めに園まで迎えに行き、一緒に教室まで歩いて行った。保育園もバレエ教室も、ふつうの大人なら徒歩で15分以内だが、幼児と高齢者のコンビにはけっこうな距離だった(今から思えば、私の母にはとてもよい運動であった)。

半年後、秋の発表会というのが行われ、娘は初めて「舞台」に立った。
それまでは、舞台といえば保育園のお遊戯会だった。
バレエ教室の舞台は、練習量も衣装もお遊戯会とは桁違いだったが、舞台上で展開される「パフォーマンス」(笑)は似たようなもんだった。つまり、教えるほうも教わるほうも一生懸命、客席には父ちゃん母ちゃんじいちゃんばあちゃんがぎっしり、上手やったわあ、よう頑張ったねと褒めてもらうために、すべてのエネルギーを一点集中させるのである。その結実としての「パフォーマンス」は、技や見た目の美は不問であり、ただ演技をする本人がその舞台を楽しみ全力で披露しているかどうかだけなのだ、問題は。

我が娘はこのときから喝采を浴びる快感を覚えた。
この快感を途切れなく得るために、現在に至る。


0 件のコメント:

コメントを投稿